LiFeAs

2012年6月12日 (火)

LiFeAs-BS195-1-6(その2)

無事アプローチしたが、超伝導を示さない表面で、探針の空間分解能も今一つだった。Au(111)の見え方と実際の試料を測ったときの分解能の関係は、もっと経験が必要だろう。

貴金属で調整した探針は不安定であるという話も聞くので、Pt-Ir探針とPtあるいはIrの組み合わせ、あるいはタングステン探針とタングステンの組み合わせを試してみたい。一旦良い探針と試料の組み合わせができれば一ヶ月以上測定を続けるのが普通なので、やはり、たとえ数日かかるプロセスでも、確実に良い探針を作るレシピを確立する意義はあると感じる。

今回の試料でチャンバー内の試料はすべて使い果たしたことと、来週から出張が続き、その前に書かねばいけない書類もあるので、実験は一旦中断することにする。

2012年6月11日 (月)

Au(111) & LiFeAs-BS195-1-6

ここ数日の記録

前回の試料は、超伝導ギャップが見えず、空間分解能も今一つであった。

複数の経験者に聞いたところ、一致した意見は、Au(111)で原子を見るのは相当難しく、原子像が見えたとすれば、それはおそらく探針の先に何か異分子がついているのだというということであった。とりあえず、ステップエッジの鋭さで評価するのが良さそうである。

探針を変える時、電圧パルスをかけていたが、きわめて頻繁に針先が飛び、そのたびに表面が汚れるので、ソフトなクラッシュの条件を探ってみた。その結果、+100mV/10pAでフィードバックを切った場合、およそ0.55nm探針を近づけると、I-z曲線にヒステリシスが現れ、クラッシュするようだ。この後、トポグラフをとると、小さな「出っ張り」ができている。この出っ張りは小さいものと大きいものの2種類ある。0.01nm程度の精度で探針を近づける限り、小さい出っ張りを作ろうとすると数回に1度失敗して大きな出っ張りになってしまうが、大きい出っ張りは再現性良く作れ、小さい出っ張りを大きい出っ張りにすることもできる。

面白いので、今日は、字を書いてみることにし、日立基礎研にいらっしゃった細木さんにならって"PEACE"と書いてみようとしたが、Pを書き終わってEを書き始めたところで二つの大きな出っ張りがくっついてしまって、失敗した。意外と難しい。

そもそもこの構造は何かよくわからないが、タングステン原子が金表面にくっついているのだとすれば、探針はだんだん鈍ってくることになるので、ここで切り上げ、ステップエッジの構造がそれなりにきれいに見え、ダブルティップでなく、スペクトルが正常な探針になったところで終了した。

チャンバーに残っている最後の試料を劈開してアプローチを開始した。

2012年6月 7日 (木)

Au(111) & LiFeAs-BS195-1-5

昨日の朝、アプローチしたが、試料でない場所にアプローチしたようで、すぐにあきらめた。改めて探針のFIM処理と、金のスパッタアニールを行い、アプローチを開始した。今回は容量を測りながらギリギリまで探針を試料に近づけた結果、自動アプローチ後30分ほどでアプローチした。

ここまでは順調だったが、ミスをして、フィードバックがかかった状態でZ_offsetを20 nm程度一気に進めてしまい、クラッシュさせてしまった。相手が金なので幸い大きな問題はなく、別の場所を無事スキャンできることを確認して昨日は終了した。

今日は主に探針調整を行った。スペクトルを見ると、表面バンドの底は見えるものの、負バイアス側に大きなバックグラウンドが乗っていた。そこで、+0.1V/10pAのセットポイントから試料に幅10msのパルス電圧を加え、探針を変えることを試みた。+1Vから1Vおきに+5Vまでパルスを印加したが変化がなく、今度はセットポイントを-0.1V/10pAにして-1Vから1Vおきに負電圧のパルスを加えていったところ、-7Vで探針の先が飛んだ。その後、スペクトルが正常になり、探針もダブルティップではなかったので、LiFeAsを入れることにした。

試料は、最初の2つはきれいな劈開面が出ず、3つめで光沢のある表面が得られた。通常どおりアプローチを開始。

2012年6月 5日 (火)

Au(111) & LiFeAs-SK187-12 (その1)

昨日、改めてAu(111)をセットした。ステップは多かったが、スペクトルには表面状態の底がきちんと見えた。原子像は見えないが、単一欠陥やその周りの定在波は見え、また、ステップエッジの遷移領域は1nm程度で、これまでに使った探針よりは鋭い。この程度の探針で、LiFeAsがどう見えるかチェックする意味で、LiFeAsをセットすることにした。

最初に劈開したLiFeAs-SK187-11は劈開面に光沢が無いようだったので、LiFeAs-SK187-12 を、いつも通り液体窒素温度で劈開し、アプローチ開始。

探針-試料間容量から見た粗動機構の動きが悪くなっている。次回試料交換の際にシェアピエゾの容量チェックが必要である。

2012年5月 2日 (水)

LiFeAs-BS102-J3-8 by 3He-STM(その3)

無事アプローチしたが、トポグラフに昨日は見られなかった浅い凹部が多数観測された。吸着物の影響かもしれない。超伝導ギャップもあるにはあるが、はっきりしない。探針もダルなので、終了した。

このままの低い劈開の歩留まりに探針の歩留まりを考えると、このままでは神頼みと同じである。探針の評価をきちんと行うための金清浄表面の準備に再度取り掛かることにする。処理室に置いてあった、試作中の可搬型電子ビーム加熱ステージのデガスを行った。モリブデンの輻射率を0.3と仮定して、1000℃まで加熱し、1.5×10-8Torr程度までデガスしたところで、本日は終了した。

ステージ本体はモリブデン製のM12P1のネジであり、加熱時にタンタル製の雌ネジにねじ込まれる構造である。ネジ部はネジ山を入れて1mm程度の薄肉である。以前、加熱後変形して取り出せなくなったので、今回、ネジをユルユル(M11.7程度)にして再作製してもらった。Fuさんが一度デガスしていて、その時はOKだった。今回も若干スムースでないところがあったものの無事に外すことができて、試料ストック台に移せた。しかし、その後、念のためもう一度ストック台から外し、再度ねじ込もうとしたら入らなかった。ルーペで観察したところ、どうやら変形のせいではなく、何かがネジ溝にくっついているようである。そうであれば、比較的簡単に直せるはずである。

現在のホルダーとの互換性確保のため、ネジを使っているが、ネジを使わない方法も考えねばならないだろう。

2012年4月30日 (月)

LiFeAs-BS102-J3-8 by 3He-STM(その1)

欠陥が多く超伝導を示さない表面だったので、次の試料にアプローチを開始した。

2012年4月29日 (日)

LiFeAs-SK187-10 by 3He-STM(その1)

昨日のアプローチは不安定な表面でスキャンできなかった。幸い、探針は大きなダメージを受けておらず、昨日と同じ電圧でFIM像が取れた。

新しく劈開した試料にアプローチを開始。

測定と平行して、スキャナーの部品を用意しつつある。ピエゾとトンネル電流の信号線との干渉を防ぐための、レジネートペースト焼成によるアルミナ部品への金コーティングはうまくいった。いつもすぐ剥がれてしまうチタンへの金コーティングが次の課題である。チタン部品が古いので、エッチングしてからの方が良いだろう。熱濃硫酸で大丈夫だろうか。

2012年4月28日 (土)

LiFeAs-BS195-1-3 by 3He-STM(その1)

久々にルーティンの実験準備。探針をFIM処理し、試料を液体窒素温度で劈開し、アプローチを開始した。

2012年4月27日 (金)

LiFeAs-BS195-1-2 by 3He-STM(その2)

無事にアプローチし、スキャンすることができた。分光測定時の安定度も問題なく、STMは元通りの性能を発揮していることが確認できた。

しかし、超伝導を示さない表面にあたってしまい、探針もそれほど鋭くない。ピエゾのキャリブレーション用のトポグラフを取って、終了した。

チャンバー内にはあと1個試料があるが、このタイミングで新たに試料を入れることにする。
今のバッチの試料をセットしようとしたが、インターグロウスが多いようで、劈開してもきれいな面が出ないことが多い。そこで、過去に何度か劈開し、良い面が出る可能性が高い試料を3個導入室にセットした。

2012年4月26日 (木)

LiFeAs-BS195-1-2 by 3He-STM(その1)

昨日のアプローチは、清浄ではないところにアプローチしてしまったようで、電流が不安定でスキャンすらできなかった。探針も少なくとも5kVまでFIM像がとれないようになってしまった。

4月19日に用意した5本の新しい探針のうち、最初のものが幸い3kV以下からFIM像が得られる良い探針だったので、最高3.1kVまでの電圧でクリーニングしてセットした。試料は昨日と同じバッチのものである。

探針を入れ替えても、Z_offsetを引いた時のリンギング様のノイズは同じように観測されたので、探針ではなく、スキャナーの問題である。Z_offsetを引く速度を遅くしても、なめらかに電圧が掃引されるわけではなく、ステップ状に電圧が変わるようなので、解決にはならなかった。

リンギングの周波数は3.6kHzで、スキャナーの最低共振周波数の5.5kHzより低い。どこが共振しているのか、現状では分からない。新しいスキャナーを作製したら交換すべきだろう。

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