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2010年12月

2010年12月30日 (木)

Bi2Se3 #A-1 STM/STS by 3He-STM(その2)

無事にアプローチした。前回と同じ探針を使用しているが、分解能、トポグラフの見え方に変化無し。#3-3より欠陥が多く、ドープが進んでいることとコンシステントである。よくある欠陥は、数格子間隔の大きさの三角形をしているが、今回、一原子の大きさで非常に高い(数nm数100pmのものと、1nm100pm程度のものの2種類ある)欠陥が見受けられる。これは、以前にこのバッチの試料を測定した時にも観測されたが、#3-3では、視野の中には無かった。逆に、#3-3には多数あった、「凹み」は、今回の#A-1には存在しない。単にSe欠損、あるいはBiとSeの入れ替わりではない欠陥が存在するようだ。これは、これまで再現性に問題のあった、磁性不純物効果の再実験をするとき重要な情報になるだろう。

視野を100nmまで広げようと考えたが、この「高い欠陥」近傍で探針が不安定になるので、30nmでのマッピングを行うことにする。不均一構造の空間構造を議論するのは難しいが、不均一のキャリヤ量依存性という当初の目的には、十分だろう。

Dirac点が-300meV近傍であることを確認したのち、11Tでのマッピングを開始。30nm四方、128×128点、±50mV、81layers、セットポイント+0.1V/0.2nA、変調0.7mV、温度1.5K。約59時間のマッピング。

2010年12月29日 (水)

Bi2Se3 #A-1 STM/STS by 3He-STM(その1)

Dirac点が-300meV程度の試料は、無事に1個目の試料の劈開がうまく行き、アプローチ開始。ただし、STMに試料をセットした時にかなり脱ガスし、処理室の真空度が5×10-9 Torr程度まで悪化した(その後すぐに10-11 Torr台に回復)。イオンポンプを焚いていても、2か月ほどの測定中には、やはり最低温になる試料近傍に相当残留ガス(おそらくH2)が吸着しているようだ。

H2は電子ドープに効くらしく、ARPESでDirac点を測ると、劈開直後から数時間のオーダーで深い位置にドリフトしていくそうだ。アプローチに半日近くかけているSTMで測る表面は、すでに緩和しきったものを見ているのだろう。

2010年12月28日 (火)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その26)

中間エネルギー領域のマッピング終了。ヒストグラムとLandau準位に相関があるが、基本的にほぼ均一。

LiFeAsに移行しようと思っていたが、Bi2Se3のFermi準位近傍の微細構造、不均一のキャリヤ量依存性をチェックすることを優先すべきと考え、Dirac点が-300meV程度のキャリヤの多い試料を3個load lockにセットした。

2010年12月26日 (日)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その25)

Landau指数が小さいところのマップ終了。n=0、あるいはn=1のLandau準位状態は、欠陥近傍ほど低いエネルギーで現れ、同心円上に広がっていく。n=4程度になると、ほぼ均一である。

念のため、中間的なnのエネルギーでのマップを開始。100nm四方、128×128点、-40mV~-135mV、90layers、のマッピングを開始。セットポイント-0.135V/0.1nA、変調2.5mV、温度1.5K、磁場11T。約45時間の予定。

このマッピングの終了時までに、特に必要な実験を思いつかなければ、Bi2Se3は一区切りして、来月の出張に向けてLiFeAsの確認実験を行う予定。

2010年12月24日 (金)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その24)

10T終了。Landau準位の底でのみ帯状構造が現れるが、これは、帯よりも、その周辺のDOSが下がっていること、つまりギャップが開いていることに、今更のように気づく。東大物理の福山先生や、ハンブルグのWiesendanger先生のグループの結果とコンシステント。先週、出張先で福山先生に指摘されたのに、なぜピンとこなかったのか不思議というか、情けない。

ただ、その内側でのみ電子状態が不均一になる±20meVという良く定義できるエネルギースケールの起源は未だに謎である。

磁場よりもLandau指数n依存性が重要であろうと考え、このエネルギースケールの外側でのマップを試みる。やはり最重要は、nが小さいところであろう。探針が変わらないことをいのりつつ、100nm四方、128×128点、-125mV~-250mV、80layers、のマッピングを開始。セットポイント-0.25V/0.2nA、変調2.5mV、温度1.5K、磁場11T。約40時間の予定。

2010年12月22日 (水)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その23)

9T終了。9Tの不均一パターンと11Tのパターンはある程度似ているので、どのように不均一が磁場変化するのか、系統性を明らかにするために、間の10Tでのマッピングを開始。

2010年12月20日 (月)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その22)

6T終了。午後から水曜日まで都内出張のため、解析は後回しにして、同条件で9Tでのマッピングを開始。これで、不均一構造と、トポグラフとの関係に関する系統性が議論できる様になることを期待している。

2010年12月17日 (金)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その21)

100nmのトポグラフを終え、12月10日に始めた11Tのマッピングと同じ条件で6Tのマッピングを開始。欠陥位置と電子不均一の相関の確認が目的。

ステップ探しもやりたいが、これにはまとまった時間が必要。明日、明後日と出張、来週も月曜から水曜まで別の出張なので、手のかからないマッピングを今日を含めて、あと2回程度行う予定。

2010年12月16日 (木)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その20)

実験再開。出張中針を引いてあったので、z方向のクリープの影響が大きくなってしまう。この影響を低減するためと、欠陥がどの原子サイトにあるのかを同定するために、100nm四方の超高分解能トポグラフを1日かけて取ることにする。土曜、日曜が出張なので、金曜夜からのスキャンができるようにするためでもある。

+0.1V/0.2nA、5nm/s、2048×2048ポイント。23時間弱かかる予定。ゴミ付近での発振を避けるため、フィードバック条件を若干弱めた。

2010年12月12日 (日)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その19)

エネルギーを刻んだマップ終了。同じエネルギーで比べると、前のマップを完全に再現しているので、探針が一度変わった影響はほとんどないと考えられる。

帯状構造の発達は、一見、エネルギーの関数として単純に記述できるようなものではない。どうも、トポと相関がありそう。

今日から出張なので、磁場を下ろし、ヘリウムを汲んでおく。試料温度を1.5Kのままにするため、1Kポットは引き続ける。探針は表面から200nm程度離した。火曜日にもう一度ヘリウムを汲んでもらい、16日から実験再開の予定。

2010年12月10日 (金)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その18)

幸い、マッピングの終わり近くのゴミのところで、探針の形がもとに戻った。欠陥の見え方が前と全く同じなので、系統性の実験が続けられる。

輝点近傍では、n=0のLandau準位のエネルギーが低くなっており、Se欠損による電子ドープとコンシステントである。広い範囲のスキャンではっきりした。

多くのLandau準位を含むエネルギー領域のスペクトルを代表的な場所で取って比べてみると、場所によって変わるのはn=0~2程度の準位だけで、nが大きくなるにしたがい、場所依存性はほとんどなくなる。一見、E-kの分散関係が場所依存するように見えるが、長さスケールがkを定義するのに十分かどうか、検討が必要だろう。

日曜夕方から出張なので、ギリギリの日曜昼まで、帯状の構造のエネルギー変化をしらべるためのエネルギーを細かく刻んだマップをとることにした。前のマップと同じエネルギーも含まれるので、探針が変わった影響が無いかどうかのチェックも兼ねている。73layersだが、変調振幅0.7mVなので、各layerが完全に独立なわけではない。約41時間のマッピング。

2010年12月 9日 (木)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その17)

残り1/3位の所で探針が変ってしまった。コンダクタンスマップには、ほとんど変化が見られないのと、今、欲しい情報はピーク位置のみなので、このスキャンに対する影響は少ないと考えられるが、出張ギリギリまでやろうと思っていた、これまでのデータを補完するマッピングは厳しくなった。

新しい視野に移る必要がある。これも笹川さんの提案の、ステップ探しをすべきだろう。

2010年12月 8日 (水)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その16)

6T終了。30nm四方のスキャンで示唆されていた、不均一の長さスケールが磁場に依存しない振る舞いが確認できた。6Tのパターン自体は11Tのパターンと全く異なる。

共同研究者の笹川さんの提案で、n=0のLandau準位の100nm四方でのマッピングを行うことにする。確かに、これが定性的に新しいデータを取るうえで重要。

ただし、ゴミを拾う危険性は高い。バイアスをn=0の準位に近い-250mVに設定。知りたい情報はピーク位置なので、セットポイントがこれまでと違うことは問題にならない。

前回5nm/sのスキャン速度でもゴミ周辺で安定しなかったのは、おそらく、フィードバックが強すぎて、発振していたのであろう。フィードバックを弱め、スキャン速度を2nm/sまで下げた。また、電圧スイープ前の平均時間(フィードバックon)を10msから50msに伸ばした。

ゴミを拾う可能性を少しでも下げるため、これらの設定がうまくいくかどうか、ゴミ周辺の狭い範囲のスキャンで確認することはあえてしなかった。仮に最初のゴミを拾ったとしても、そこまでのデータだけでも何か分かるだろう。約59時間のマッピングを予定。

2010年12月 5日 (日)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その15)

ゼロ磁場での100nm四方のマッピング終了。均一性を確認。同じ視野、同じ条件で6Tのマッピングを開始。ただし、ゴミ近くの安定性は、スキャン速度が20nm/sでも5nm/sでも変わらないので、20nm/sにもどした。

来週末の出張まで、条件を変えられるのはあと1回。3Tか、9Tか、あるいは全く別のスキャンか、6Tのデータを見て決めることにする。

2010年12月 2日 (木)

Bi2Se3 #3-3 STM/STS by 3He-STM(その14)

100nmのマッピング終了。大きなゴミがあってヒヤヒヤしたが、なんとか無事にデータがとれた。不均一になるエネルギー範囲(±20meV)で、はっきりした帯状の構造が見えるエネルギーがあること、また、Landau準位と、コンダクタンスのヒストグラムの間に強い相関が見られることが分かった。

明日から2日間出張なのと、比較のため、ゼロ磁場で同じ条件でマッピングを開始。ただし、ゴミをひっかけないように、スキャン速度を20nm/sから5nm/sに下げた。

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